第190章

だが、藤原時夜が予定を早めたせいで、手配していた車もホテルもすべて無駄になってしまった。

向こうの迎えが来るまで、あと三十分もない。

藤原時夜は眉間を揉みほぐしながら、唐突に口を開いた。

「オークションの招待状は手に入れたか」

夏川風は一瞬呆気にとられたが、すぐさま反応して懐からリストを取り出す。

「はい、手配済みです。こちらが出品リストになりますが、何かお気に召すものはございますか?」

藤原家の祖母が亡くなって以来、藤原時夜が自らオークションに足を運ぶことなど滅多になかった。

まさか池島叶月のために、社長が重い腰を上げるとは。

夏川風は内心でそう推し量りつつも、主の考えまで...

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