第212章

「お嬢様、もっと着込んでください」

桜はそう言いながら、高橋玲に服を重ねていく。

実に五枚も着せかけ、ようやく身体を解放した。

今の高橋玲は膝丈のダウンコートを羽織り、全身が丸々と膨れ上がり、まるで大きなパンの塊のようだ。

首にはマフラーが巻かれているため、口元が埋もれて言葉も少し不明瞭になっている。

彼女は手を挙げて抗議した。

「雪遊びに行くだけだぞ。南極観測隊じゃあるまいし、大袈裟すぎる」

桜は断固として首を横に振った。高橋玲の恨めしげな視線を無視し、帽子と手袋を装着させる。

「いけません。お嬢様は今、大事な時期なのですから、絶対に冷やしてはなりません。外に出るのを許可し...

ログインして続きを読む