第216章

藤原時夜は淡々と「ん」とだけ答え、短く告げた。

「会社に置いておけ」

夏川風はハッと気づいた。今回彼が言及したのは、あのネックレスのことだと。彼は即座に頷いた。

「承知いたしました、藤原社長」

しかし、振り返った途端、山積みになった書類が目に入り、サーッと血の気が引いた。電話が切れる前に、夏川風は勇気を振り絞った。

「藤原社長、いつ出社されますか? 株主総会の懸案事項が多すぎて、私の判断だけでは処理しきれない案件が……」

普段なら夏川風は一人でも仕事を回せるのだが、まさか昨日、藤原時夜がそのまま帰ってこないとは思わなかった。ボスに出社を催促するわけにもいかず、ネックレスを口実に藤...

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