第53章

やはり、母の言った通りだった。

高橋玲が今このような態度なのは、藤原時夜の注目を引いて、藤原グループに戻るためだ。

だから高橋グループに出勤していないのね。

今日も藤原時夜はあからさまに彼女に肩入れして、あっさり許してしまった。

ダメ!絶対に高橋玲の策略にはまるわけにはいかない。

藤原時夜のそばにいられる女は私、佐藤花子だけ!

そう思うと、佐藤花子は不気味に笑みを浮かべた。

しかしその動きが顔の傷を刺激し、痛みに顔をゆがめた。

今の急務は病院に行くことだが、会社の玄関には人がたくさんいる。

他の人に自分のこんな姿を見られるわけにはいかない。

そこで佐藤花子は髪を下ろし、バ...

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