第10章 いつでも私に手伝いを頼んでいい

杏璃は西川結人の後ろを追うようにして、病院を出た。

あれこれ手間取ったせいで、外はもう遅い時間だ。

「先輩、さっきは……ありがとうございました。先輩がいなかったら、私……」

そこまで言って、杏璃は言葉を飲み込み、赤く腫れた自分の手首を見つめた。

西川結人もその視線を追う。

「帰ったら、薬塗っとけ」

「うん」

西川結人が彼女を一瞥し、ふっと笑った。

ほんの薄い笑み。それなのに杏璃は一瞬、意識が遠のくような気がした。

大学時代――西川結人は学科の有名人だった。二つ上の先輩で、才能に溢れ、受賞歴も桁違い。

同じサークルで顔を合わせるたび、彼は笑って「後輩」と呼んでくれた。

そ...

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