第102章 彼女には西川結人という後ろ盾がいる

「好奇心から、あなたの作品を片っ端から集めてみたんです。そしたら――驚いたことに、ずいぶん長いこと沈黙しているじゃないですか」

「どうして、こんなに優れたデザイナーが突然筆を止めたのか。知りたくてたまらなかった。……埃をかぶった真珠が、もう一度光り出すところを見届けられないなんて、僕はきっと後悔する。だから、戻ってきました」

大原泰介がそこまで言い切ったとき、杏璃の胸の内は、ただ「衝撃」なんて言葉では収まらなかった。

結婚する前の彼女の作品は、確かに生命力に満ちていた。未知への期待、未来への憧れ――そういうものが、線の一本一本に宿っていた。

前へ進めば、きっといいことがある。顔を上げ...

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