第110章 大きな手が彼女の腰を支える

ほかの保護者たちは先を争うように足早に進み、子どもたちもつられて慌てる。転んでしまって、仕方なくスタート地点まで戻される子が何人もいた。

その中で、杏璃たちの組は違った。出だしこそ速くはないが、とにかく安定している。

杏璃と大原晴樹は息を合わせ、文哉の腕を左右から支えた。転ぶ隙など与えない、という手つきで。

十数メートル進むころには呼吸もぴたりと揃い、歩幅が自然に大きくなる。速度もぐんと上がった。

結果は言うまでもない。杏璃たちは堂々の一位だった。

文哉は先生からバッジを受け取り、満足そうに胸を張った。反射的に杏璃へ差し出しかけて――ふと、顔がくしゃりと曇る。

友里絵おばさんが出...

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