第112章 名門令嬢の様子

だが高齢で体調も芳しくないため、福島爺さんはずいぶん前に国外へ渡り穏やかな暮らしを送っていた。

『杏璃、福島孝介ってクソガキ、今日お前のところに行っただろう?』

杏璃が口を開くより先に、福島爺さんは畳みかける。

『言わなくても分かる。あいつは昔から、考えるより先に手が出るタイプだ』

『でもな……あれは、こっちが甘やかして育てたせいでもある。中途半端なまま背伸びばかりして、見下されるのを怖がってる。福島の名に泥を塗るのが嫌で、焦って結果だけを取りにいくんだ』

深い溜息が受話器越しに落ちた。

『杏璃。わしは、お前に身びいきを頼みたいわけじゃない。お前の祖父さんとの縁に甘えて、裏口を開...

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