第123章 もし彼女があえてそうしないならどうする?

大原晴樹は、最初から最後まで彼女を一度も叱らなかった。

ただ、踏まれるたびに淡々と――

「転ぶぞ。気をつけろ」

それが杏璃のミスが一回二回なら、周囲も笑って流しただろう。

だが回数が重なるにつれ、誰の目にもはっきりしてくる。

「始まったときは、すごく上手で経験者かと思ったのに。結局、見せかけだったんだ」

「さっきまで大原さんとお似合いだと思ってたけど……顔は釣り合っても、雰囲気が全然違うよね」

「岩崎家のお嬢様って、甘やかされて育ったって聞いてたけど。お嬢様としての教育も受けてないって……やっぱり本当だったんだ」

熊元友里絵は、杏璃への陰口を耳にして、胸の奥に溜まっていた苛立...

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