第124章 熊元友里絵の油絵

大原婆さんは椅子の肘掛けに置いた手を、ぎゅっと握りしめた。声音には露骨な苛立ちが滲む。

「晴樹、今度は何の真似だい」

「おばあちゃん。友里絵の気持ちです。どうか一度だけ、機会をください」

そこまで言われれば、熊元家が「その場で絵を描かせて目立たせたい」と願っていた相手が誰なのか――もはや言うまでもない。

大原婆さんは腹の底から怒鳴りつけそうになったが、晴樹の顔を立てるために、ぐっと堪えて目を閉じる。やがて、面倒くさそうに手をひらひらと振った。

それを見て、熊元友里絵はぱっと笑みを浮かべ、大原晴樹へ視線を向ける。

「晴樹、おばあちゃんのご許可ってことは……」

「行け」

晴樹のひ...

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