第13章 寵愛される者は何も持たない

「どういうつもりだ?」

西川結人は淡く笑った。

「大原さんには分かりませんか。後輩の買い物に付き合ってるだけですよ」

大原晴樹の顔が、すっと陰る。

熊元友里絵は傍らで立ち尽くし、目尻はもう赤い。唇を噛み、ひどく傷ついたみたいな顔で、小さく言った。

「西川さん……その宝石、私が先に気に入ったんです」

西川結人は眉を上げる。

「先に気に入った人のものになるなら、この石はずっと飾られてる。見た人なんて数え切れないですよ。見た人全員のものってことですか」

一拍置く。声は落ち着いているのに、言葉だけが棘を帯びた。

「それに、金田さんがここに置いてるのは、金のためじゃない。ちゃんと価値...

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