第131章 彼は杏璃が見抜けなくなった

大原晴樹は彼女を一瞥した。

その視線ひとつで杏璃の胸の内を読み取ろうとしたのだろう。だが、彼はそこでようやく気づく。

――もう、自分には杏璃が読めない。

杏璃は大原家を出ると、そのまま幼稚園へ向かった。

文哉は彼女の姿を見つけた瞬間、ぱあっと顔を輝かせ、口が裂けそうなくらい笑って駆け寄ってくる。勢いのまま、杏璃の胸にどんっと飛び込んだ。

杏璃は抱きとめ、転ばないように支える。

「行こう。これから数日は、ママと一緒に帰ろうね」

「うん!」

文哉は杏璃の手をぎゅっと握り、弾む声で言った。

「ママ、もうすぐ週末だよね。遊園地、連れてってくれる?」

「それは難しいかな」

杏璃は...

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