第137章 今すぐ辞める

小池爺さんはその光景を目にした瞬間、熊元友里絵の意図を察した。

――バレるのが怖いのだ。

築き上げてきた「理想の自分」が崩れるのを恐れて、だからあんなにも必死に熊元七海を引っぱっていった。

利益に目がくらんだ人間は、ここまで平気でやるのか。

小池爺さんは内心で舌打ちする。

杏璃も同じ結論に辿り着いたらしい。小池爺さんと視線がぶつかると、彼女は淡く笑った。

何も言わない。けれど、互いに分かっていた。

駐車場に着いてようやく、熊元友里絵は七海の手を放した。

熊元七海は赤くなった手首をさすりながら、納得がいかない顔で言う。

「ねえ、なんで急に引っぱっていくの? 失礼だよ。さっき、...

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