第138章 彼と杏璃は夫婦のようだ

でも、今は違う。――誰かの「二番手」なんて、もうまっぴらだ。

杏璃はその電話で気分を乱されることもなく、あらかじめ用意していたワンピースに袖を通すと、ケーキを手に家を出た。

三十分後。杏璃はデパートの入口前で、大原泰介と奈央と合流する。

まだ距離があるのに、奈央は杏璃を見つけた瞬間、ぱっと顔を輝かせた。大原泰介の手を振りほどき、そのまま杏璃のほうへ駆けてくる。

杏璃は笑って奈央を受け止め、親しげに頭をくしゃりと撫でた。

「そんなに急がないの。転んだら危ないよ」

「綺麗なおばさん! やっとまた会えた!」

奈央は杏璃の首にぎゅっと抱きつき、今にも頬にちゅっとしたい勢いで身を寄せる。...

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