第14章 大原家の会食

杏璃は心底、胸の奥まで澄みわたるような気分だった。

以前は大原晴樹の前に立つだけで、いつも息を詰めていた。いい妻でいよう、ちゃんとしていようと、神経をすり減らしながら。彼が少しでも不満そうな顔をしたら、それだけで自分の落ち度みたいに思えて――。

でも今は違う。

自分の仕事がある。誰かの顔色をうかがって生きなくていい。言いたいことは言えるし、腹が立てば堂々と噛みつける。そういう自由が、たまらなく気持ちいい。

陽射しが肌に降り注ぎ、身体の芯までぽかぽかと温まる。杏璃は手の中の小箱を見つめた。ルビーが光を跳ね返し、きらめきが眩しい。

「先輩、買ってくださってありがとうございます。絶対、無...

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