第143章 あの熊元さんはただ者じゃない

熊元友里絵はそう言い終えると、熊元七海の手を引いて個室のほうへ向かった。だが、数歩も進まないうちに、見覚えのある背中が視界に入る。

――杏璃。

黒のミニスカートに、8cmはありそうな黒いヒール。脚のラインがすらりと映えている。その隣には男がひとり。杏璃はその男と楽しげに笑い合い、どう見ても打ち解けた様子だった。

友里絵は男の顔を何度も何度も観察した。けれど、どうしても思い出せない。

……誰であれ、これを大原晴樹が見たら面倒なことになる。

そう判断した友里絵は進路を変え、七海を連れたまま杏璃の前へまっすぐ歩いていった。

「岩崎さん、偶然ですね。まさかここで会うなんて。こちらの方は…...

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