第144章 杏璃の歌はなんとそんなに上手いとは

杏璃は本当は、このまま帰るつもりだった。けれど杉原さんを見送ろうと外へ出たところで、田中奈々と鉢合わせる。

「杏璃、なんでここにいるの? ちょうど今日、あたし機嫌いいんだ。帰らないでよ。ちょっとだけ、付き合って」

そう言いかけてから、奈々は杏璃の隣にもう一人いることに気づき、慌てて頭を下げた。

「ごめんごめん。もしかしてお仕事の話してた? だったら気にしないで。私のせいで邪魔したくないし」

杉原さんは穏やかに笑った。

「大丈夫。もう話は終わってるよ。俺も帰るところだったし。二人で楽しんで」

それだけ言い残し、杉原さんは車に乗り込んで去っていった。杏璃はその背を見送ってから、奈々の...

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