第158章 文哉を通して彼女を盗み見る

文哉が冷えないようにと、杏璃は手を伸ばして毛布をもう少し上まで引き上げようとした。けれど、怪我をしている文哉の腕に触れないよう気を遣って、動きはどうしても小さくなる。何度か試しても、毛布の端をうまくつかめなかった。

そのとき、骨ばった指の長い手が杏璃の視界に差し込んだ。

もう一枚の毛布が、すっと目の前へ差し出される。

杏璃が顔を上げると、そこには大原晴樹の、笑みを含んだ整った横顔があった。

「それ、文哉にかけてあげて。今日は……お疲れさま」

杏璃は返事をせず、大原晴樹の手から毛布を受け取り、文哉の上にそっとかけた。

文哉は安らかな寝息を立てている。

しん、と静まり返った病室に、...

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