第16章 君がやらないなら、使用人がやるだけだ

大原婆さんは本当は止めたかったのだろう。だが、賑やかに笑い合う大勢の輪の外に、杏璃だけがぽつんと弾かれているのを見てしまえば、胸が痛む。結局、ひとつ溜息をつくしかなかった。

「行っておいで。無理はしないでね。疲れたら部屋で休んで。何かあったら使用人に言えばいいから」

杏璃は頷き、キッチンへ向かった。

大原家のキッチンは、普通の家の住居より広いんじゃないかと思うほどだ。七、八人の料理人が忙しなく動き回り、湯気と香りが入り混じっている。

杏璃は空いているシンクを見つけ、蛇口をひねった。冷水が手首を打ち、ひやりとした刺激に思わず肩が跳ねる。

「奥様、どうしてこちらへ……」

下働きの使用...

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