第164章 交通事故の防犯カメラ映像

「契約解除の話は、君と話しても無駄なのは分かった。じゃあ――君の父親の死の真相についてなら、話す価値はあるかな?」

杏璃はバッグの持ち手を握る指に、きゅっと力を込めた。けれど表情は、妙なほど静かだった。

「今日の午後ずっと、あなたの電話に出なかった。理由、まだ分からないの?」

声は淡々としている。

「確かに、熊元友里絵が事故現場にいた理由は気になる。でも、私が自分で真相に辿り着けないとでも思ってる?」

「ほかは大口叩かない。だが当時の真相を知りたいなら、俺に頭を下げるしかない。君の選択肢はそれ一つだ」

熊元一郎は薄く笑い、道の向こうの喫茶店を顎で示した。

「俺はあそこで待つ」

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