第21章 見る目のない奴なんて、こっちから願い下げよ

杏璃は彼女のほうを二、三度だけ見やると、すぐに視線を引っ込め、グラスを持ち上げて一口だけ口に含んだ。

本来なら自分のものだったはずのそれが――あの、もともと綱渡りみたいに危うかった結婚もまとめて――熊元友里絵の手に落ちた。

けれど、もうどうでもいい。

人も、服も、どちらも過去だ。杏璃は前を向くべきだった。

ほどなくして、彼女はこのパーティーで狙うべき相手を見つける。

佐野樹が、床まで届く大きな窓のそばに立っていた。シャンパンを片手に、退屈そうに夜景を眺めている。

杏璃はグラスを置き、まっすぐ彼のもとへ歩いた。

「佐野さん、こんばんは」

佐野樹が振り返り、杏璃を上から下まで値踏...

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