第31章 ママはなぜ電話に出ないの?

文哉はドア口に立ったまま、彼女が荷物を動かす様子を物珍しそうに眺めていたが、つい口を滑らせた。

「友里絵おばさん……ここに住むの?」

本当は、友里絵おばさんが引っ越してきてくれたらうれしい。うれしい、はずだった。

なのに、ママの物がどんどん運び出されて、雑に物置へ積まれていくのを見ていると、胸のあたりがすこしだけむずむずした。

家には空き部屋がいくつもある。どれも広くて、きれいで、立派なのに。

どうして友里絵おばさんは、ママの部屋じゃなきゃだめなんだろう。

じゃあ――ママは、戻ってくるの?

けれど熊元友里絵は、好奇心の下に隠れたその微妙な表情の揺れに気づかないまま、にこっと笑っ...

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