第37章 ひどいね

杏璃は視線を引き戻し、ほかのデザイナーたちと先ほどの議論を続けた。

熊元友里絵も、まさかここで杏璃と顔を合わせるとは思っていなかった。だが今日の狙いは小林志麻だ。彼女は大原晴樹の袖をつかみ、そのまま引っぱって向こうへ歩いていく。

さっきまで小林志麻の周りには質問目的のデザイナーが固まっていたのに、大原晴樹が来た途端、潮が引くみたいにさっと退いた。

「大原さんって、ずいぶん威勢がいいのね」

小林志麻の言い方は、どこか棘があった。

熊元友里絵が大原晴樹の袖を小さく引く。

「晴樹、小林さんと知り合いなの?」

大原晴樹はにこりと笑っただけで、答えを濁した。

「小林さん。お久しぶりです...

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