第39章 お母さんを許してくれないか

杏璃は床に倒れた文哉をいったん無視し、しゃがみ込んで女の子の顔を覗き込んだ。

「奈央、どこか痛くした?」

奈央はおとなしく首を横に振り、それから唇を尖らせて言い訳する。

「わたし、押してないよ」

「分かってる。先におばあちゃんのところに行ってて。すぐ行くから」

「うん」

奈央は高橋に連れられていく。杏璃はそれを見届けてから、ようやく地べたに座り込んだままの文哉へ視線を落とした。

「いつまでそうしてるつもり?」

「ママ、ぼくのこと嫌いになった!」

文哉はわあっと泣き叫ぶ。

「友里絵おばさんだったら、今ごろぼくのこと可哀想って抱っこしてくれるし、悪いヤツやっつけてくれるもん!...

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