第41章 大原晴樹が彼女を気に入るわけだ

「……離婚を惜しんで、わざとあんな芝居を打ってるんじゃないか? だってさ、あの女、あれだけ必死こいて晴樹兄と結婚したんだぞ。やっと手に入れたのに、そう簡単に離婚なんてするわけない」

「晴樹兄、気をつけたほうがいいっすよ。また前みたいに、あいつに嵌められないように」

「さっきの場面を友里絵に知られたら、絶対機嫌悪くなりますって」

大原晴樹は横目で一瞥し、「言うな」とだけ吐き捨てた。

それだけ言い残し、大原晴樹は個室へと足を向ける。

杏璃は家庭と世間から切り離された五年を過ごしていたとはいえ、まだ若い。馴染むのは早かった。

バーみたいに騒がしい場所に来たのは今日が初めてだったが、気づ...

ログインして続きを読む