第43章 あなたの旦那さんはまた来ていないのか

慌てて出てきたせいで、杏璃は傘も持っていなかった。

どうしようかと迷っていると、誰かが傘を差し出してくる。

「岩崎さん、こちらをお使いください」

秘書がそう言い終えるより早く、別の細い手がその傘をさっと奪った。

「ごめんなさい。どうやら最後の1本みたいなので、私が先に使わせてもらうわ」

熊元友里絵は秘書ににこりと笑いかけ、それから杏璃へ視線を向けた。

「杏璃、私、やけどのところは濡らせないの。水がつくと炎症起こしちゃうから。傘、もらっちゃってもいいよね?」

杏璃が答える前に、熊元友里絵は傘を手にしたまま外へ出ていった。

秘書は申し訳なさそうな顔をしたが、杏璃は何も言わず、彼を...

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