第46章 5年前の状態に戻る

「友里絵姉、頼むから口添えしてよ! 棒に殴られるのだけは嫌だって!」

「晴樹……」

熊元友里絵は大原晴樹の傍へ歩み寄り、声音を落として柔らかく言った。

「最近、体の具合が本当によくなくて……今回は美緒のこと、見逃してあげて。徳を積むと思って」

まどろっこしい言い方、事情を知らない者には真意が掴めない。だが杏璃には分かった。

熊元友里絵は――腹の子を盾にして、情けを乞うている。

けれど、さっき大原婆さんは文字どおり生死の淵をさまよったばかりだ。こんなことで簡単に許していいはずがない。

「生活費は一か月停止。今後は口を開く前に、自分の立場を考えろ」

大原晴樹が淡々と告げ、それで裁...

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