第49章 彼女に対して確かに気がある

「そこまで」

杏璃はきっぱりと言い、手のひらを立てて制止の仕草をした。

「家族がいるからって、外で衝動的に行動していい理由にはなりません。むしろ家に守るべき人がいるからこそ、いつでも理性を保つべきです」

「さっき警察には連絡しました。あとは来た人が対応します。あなたたちの事情には同情します。でも、やったことは許せません」

工場長はそこまで言われて、杏璃が引く気などないと悟ったのだろう。顔を強張らせたまま、数人の作業員を連れて引き下がっていった。

大原泰介が杏璃の服の裾を、ちょん、と引っ張る。

「杏璃さん、もう怒らないで」

「怒ってない」

杏璃は彼の隣に腰を下ろした。

大原泰...

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