第55章 私が出る必要があるか

彼女は普段ネットを見ない。だから、こんな大騒ぎになっていることも知らなかった。

「杏璃、どうしたの。今日は早上がりなんて珍しいじゃない」

「おばあちゃん……この間は家にいて、しばらくお仕事お休みするね」

杏璃は無理に口角を上げた。

「夜、何が食べたい? 私が作る」

「杏璃、顔色が悪いよ。先に部屋で休んだら?」

「大丈夫。先にごはん作る」

杏璃は言い張ってキッチンへ向かった。別のことをして、少しでも気を紛らわせたかったのだ。

大原婆さんはすぐに大原晴樹へ電話をかける。

『晴樹、今日は仕事が片づいたら早く帰っておいで。杏璃の様子が……なんだかおかしいよ』

『分かった』

晴樹...

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