第57章 昨夜は激しかった

翌朝早く、大原婆さんがスープを手にやって来た。

杏璃の唇が乾いて皮までむけているのを見るなり、顔色が変わる。

「晴樹はどうしたの。あの子には、必ずそばにいろって言っておいたのに」

婆さんは悔しそうに眉をつり上げ、ぬるま湯を持ってくると、杏璃の唇をそっと湿らせてやった。

その手つきが、痛いほど優しい。

「おばあちゃん……」

杏璃は弱々しく笑ってみせる。

「一晩寝たら、だいぶ楽になったよ。だから怒らないで」

「怒るに決まってるだろう」

婆さんは唇をへの字に曲げた。

「もう、あのクソガキ……。今日は徹底的に叱ってやる」

そう言いながら、婆さんは大原晴樹に電話をかけた。

一度...

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