第67章 黒い箱

「前みたいに、冷やしてくれない? ……すごく熱いんだ」

杏璃はきょろりと周囲を見回したが、氷も保冷剤も見当たらない。

「ここには冷やせるものがないの。少し我慢して。薬が効いてくれば楽になるから」

文哉は唇を尖らせ、ぽろぽろと涙をこぼした。

「ママ……どうして、昔みたいに優しくしてくれないの」

昔は杏璃がそばにいれば、どんな病気でも苦しくなかった。杏璃は、いくらでも方法を知っていた。薬だって、甘く感じるくらいに。

でも今のママは、どこか違う。

「文哉、今日の午後に言ったよね。あなたが聞かなかっただけ」

杏璃の声は淡々としていた。

「前はママがあなたを管理してたから、あなたはず...

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