第70章 大原社長の恋人は熊元

翌日は岩崎爺さんの誕生日パーティーだ。明日も早い。杏璃は、どうでもいい人間と出来事にこれ以上時間を溶かす気になれなかった。

翌朝。

久しぶりにぐっすり眠れた杏璃は、用意していたドレスに袖を通し、薄く化粧を整えてから階下へ降りた。

すでに使用人たちは配置につき、玄関からロビーまで、迎えのためにずらりと二列に並んでいる。

杏璃は先にキッチンで軽く口に入れ、腹を落ち着かせた。するとほどなく、客が次々と到着しはじめた。

皆、まず岩崎蘭子に挨拶をして――そして示し合わせたように、杏璃のもとへ流れてくる。

「大原さん、お久しぶりですな」

先頭の男が手を差し出した。杏璃も形式だけ合わせ、指先...

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