第89章 熊元友里絵がいなくなった

杏璃は笑いながら奈央を抱き寄せ、そのまま大原泰介と、夜は何を食べるか話し始めた。

三人のあいだには和やかな空気が流れ、その様子に何人もの保護者が思わず目を向ける。

それに引き換え、文哉のほうはひどくちぐはぐだった。大原晴樹は仕事の電話を受けに行ったきりまだ戻らず、残されたのは文哉と熊元友里絵だけ。二人でテントを前にして、どうしていいか分からず立ち尽くしていた。

熊元友里絵は説明書を見ながら何度か組み立てようとしたものの、うまくいかない。何度目かで面倒くさくなったのか、もうやる気をなくしてしまった。

周りを見れば、ほかの子たちのテントはもうきちんと完成している。ぐしゃぐしゃなのは自分た...

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