第90章 離婚協議書

大原晴樹の目がすっと翳り、先生へ視線を向けた。

「ほかの保護者たちを先に下まで連れて行ってください」

そう言うと、今度は文哉を杏璃の前へ押しやった。

「杏璃、おまえは文哉を連れて先に下りろ」

つまり、自分はここに残って熊元友里絵を捜すつもりなのだ。

杏璃は静かに文哉の手を取った。何も言わず、そのまま先生たちと一緒に下山しようとする。

大原晴樹のように、熊元友里絵のためなら命まで張れる――そんな覚悟は、杏璃にはなかった。

ところが、数歩も行かないうちに、背後から鋭い悲鳴が上がった。続いて、どさりと重いものが落ちる音。

杏璃が振り返ると、熊元友里絵が中腹の斜面から転がり落ちてきた...

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