第94章 熊元友里絵とはきっぱり縁を切る

「離婚に関する手続きは、すでにご本人から私が一任されております。大原さんのほうは、今後の手続きの流れについていつお時間をいただけますでしょうか」

秘書がスピーカーを入れていたため、書類に目を通していた大原晴樹の耳にも、橋本の声がそのまま届いた。

万年筆を走らせていた手が、ぴたりと止まる。

沈黙が一拍――いや、二拍。

「午後は海外との提携の件で打ち合わせがある。ひと段落したら、秘書から連絡させる」

それだけ言い捨てると、大原晴樹は顎で秘書に合図した。

秘書が慌てて通話を切る。

大原晴樹は万年筆を置き、蝶ネクタイを乱暴に引いた。顔色が、明らかに悪い。

秘書は余計なものを見ないふり...

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