第96章 私は熊元友里絵の父親です

彼らは遠回しに探りを入れ、この大きなケーキから少しでも甘い汁を吸おうとしてきた。西川結人は肯定も否定もせず、すべては慎重に検討する必要がある、とだけ返した。

電話を十本近く捌いて、ようやくスマホが静かになる。

西川結人はため息まじりに端末を脇へ置いた。

「お前がここまで引っ張りだこだって分かってたら、秘書を一人つけとくんだったな。こういうの専門でさばかせるやつ」

言い終えるか終えないかのところで、コンコン、とノック。大原泰介が入ってきた。

杏璃の姿も目に入ったのだろう。大原泰介の顔に、ほんの一瞬だけ気まずさが走る。

西川結人が顎で促す。

「で? 何だよ。言いたいことがあるならは...

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