第98章 晴樹は入浴中

大原晴樹は「はい」とだけ返し、そのまま小池爺さんに電話をかけた。

着信表示を見た小池爺さんは、晴樹が何を聞きたいのかすぐ分かった。回りくどいのが嫌いな人だ。隠すこともせず、最初から本題を切り出す。

「晴樹、お前が何を聞きたいかはだいたい分かる。ただな、熊元さんは優秀だ。だが、うちの採用基準には合わん」

「デザイナーってのは、正しい価値観がなきゃ正しい作品は作れない。まして今回は政府との仕事だ。デザイナーも身辺調査が入る。はっきり言うが、俺が入れてやりたいと思っても、調査で弾かれる」

小池爺さんは言葉を濁したが、晴樹には十分だった。何を指しているのか、もう分かっている。

「そういうこ...

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