第3章

愛莉視点

あの頃の私の持ち物なんて、ほとんどがどうでもいいガラクタばかりだった。コンサートのチケット、古い宿題、高校時代の友達との写真。でも、あの年の日記を見つけたとき、私の手は震え始めた。

十二月のページは、ほとんどが空白だった。大学願書やバイトについての走り書きが少しあるだけで、個人的なことは何もない。辛いとか、ここを出ていきたいとか、そういう気持ちは一切書かれていなかった。

そして、十二月二十三日の直後から、ぱったりと途絶えている。何週間も、何の記述もなかった。

『どうして何も思い出せないんだろう?』

あの年のクリスマスの写真を見つけた。あの日……あの事件が起こる、ほんの数日前に撮られたものだ。おばさんが私の肩に腕を回していて、二人でおじさんが言った何かに大笑いしている。透哉もそこにいて、今よりずっと若くて、幸せそうだった。私たちは、まるで本当の家族みたいに見えた。

『どうして私は、それを台無しにしちゃったんだろう?』

私は化粧台の鏡に映る自分を見つめた。私を見返す、あの少女を。

「何をしたの?」私は囁いた。「一体、何をしでかしたの?」

『もしかしたら、透哉の言う通りなのかもしれない。真実に向き合えなくて、自分で記憶に蓋をしたのかも』

あの夜のことを必死に思い出そうとした。目を閉じて、家を出ていくところ、置き手紙を書いているところ、雪の中を歩いていくところを思い描こうとした。でも、何もない。あるはずの十二月二十四日の記憶が、ぽっかりと空いた大きな黒い穴になっているだけだった。

『でも、思い出せないってこと自体が、証拠なんじゃないかな。もしかして私、本当に、自分の脳が消し去ってしまうほど、ひどいことをしたんじゃ……』

その考えに吐き気がした。

『おばさんは私のせいで死んだ。おじさんも、私のせいで』

朝の六時になる頃には、もう耐えられなくなっていた。リビングに行くと、透哉が低い音量でニュースを見ていた。

彼が座っている場所まで歩いていき、ソファの前にひざまずいた。

「透哉」

彼が私を見下ろした。ほんの一瞬、その瞳に何かが揺らめいた。それは痛みだったかもしれない。でも、私がそれを確かめる前に消えてしまった。

「ごめんなさい」私の声は消え入りそうだった。「本当に、本当にごめんなさい。取り返しがつかないのはわかってる。謝っても、あの人たちが戻ってこないのもわかってる。でも――」

「ああ」彼は静かに言った。「戻ってこない」

「お願い」また涙がこぼれてきて、自分がなんて哀れなんだろうと嫌になった。「私に何ができるか教えて。どうすれば、これを償えるのか教えて」

「償う?」透哉は身を乗り出し、その声は氷のように冷たかった。「何か魔法みたいなことをすれば、これがどうにかなると思ってるわけ?」

「やってみなくちゃ。何かしないと」

「何かしたいのか、愛莉?」彼は立ち上がり、私は首をぐっと反らして彼を見上げなければならなかった。「なら、お前にできることがあるとすれば教えてやる。お前は、自分がしたことと一緒に生きていけ。これからの人生、毎日、一日も忘れずにな」

「そうする。約束する」

「自分が被害者みたいな顔をするのはやめろ」彼の声は、さらに意地悪くなっていた。「俺がお前を慰めたり、許したり、人殺しの自分を少しでも楽にしてもらおうなんて期待するな」

その言葉は、平手打ちのように感じた。人殺し。それが、私。

「それから、そのくだらない仕事を続けろ。俺の治療費を送り続けろ。運が良ければ、あと五年か十年そうしてくれたら、それでチャラにしてやるって考えてやらなくもない」

私は涙に濡れた目で彼を見上げた。「それが……それが、あなたの望み?」

「は、そうかもな」彼は、当たり前のことだと言うように言った。「それとも彼らを戻らせることができるのか?」

彼はドアに向かって歩き出し、それから立ち止まって私を振り返った。

「ああ、それと愛莉?もうお前のことなんか気にかけてるふりをするのは期待するな。あれはあの人たちのためだ。お前のためじゃない」

十時になる頃には、私はボストンバッグに服を詰め込んでいた。ここにはいられない。透哉の顔を見続けるなんてできない。あの憎しみに満ちた顔を、そしてそのすべてが自分に向けられるに値するものだと知りながら。

『私がここからいなくなれば、あの子もやっと前に進めるかもしれない。快方に向かい始めるかもしれない』

荷物は大してなかった。五年も死に物狂いで働いてきたけれど、物を買う時間なんてほとんどなかったから。服と、数冊の本と、どうしても置いていけなかった写真がいくつか。

手にする写真一枚一枚が胸をえぐった。これは、私とおばさんがクッキーを作っているところ。これは、おじさんが私に運転を教えてくれているところ。これは、透哉の卒業式の日に、彼が私の肩に腕を回して、二人で馬鹿みたいに満面の笑みを浮かべているところ。

『どうして私はこんなに自己中心的だったんだろう?どうして私はこの家族を壊してしまったんだろう?』

ドアにほとんど手が届きかけたとき、私の携帯が鳴った。画面には『透哉』の文字が光っていた。今さら、私に何の用があるっていうの?

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