第8章
透哉視点
俺はノックもせず、英玲奈の部屋のドアを乱暴に開け放った。
最初に目に飛び込んできたのは、写真だった。何十枚もの写真が、壁の一面を埋め尽くしている。すべて、愛莉の写真だ。笑っている愛莉。仕事をしている愛莉。泣いている愛莉。その一枚一枚が、赤いマーカーで切り裂かれ、彼女の顔には暴力的な傷が刻みつけられていた。
『なんだ、これは……?』
「英玲奈!」俺は叫んだ。「どこにいるんだ!」
その時、モニターに気づいた。向かいの壁に設置された四台の巨大なモニターが、それぞれバーチャル世界の異なる場所を映し出している。
「こんにちは、透哉」
俺は勢いよく振り返った。そこ...
ログインして続きを読む

チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章

5. 第5章

6. 第6章

7. 第7章

8. 第8章

9. 第9章

10. 第10章


縮小

拡大