第9章

透哉視点

震える手を無理やり押さえつけ、込み上げてくる怒りをねじ伏せる。芝居を続けろ。愛莉を諦めたと信じ込ませるんだ。それしか方法はない。

「君と一緒にいてもいい」俺は言った。

「やっと分かってくれたのね?」英玲奈の声は満足感に満ちていた。彼女は椅子に背を預け、指にはめたリングをくるくると回す。「いつかは私を選んでくれるって信じてた。ここでなら、私たちは永遠に幸せになれるのよ、透哉。あなたと私、二人きり。もう痛みなんてない」

俺は自分を奮い立たせ、制御装置へと一歩近づいた。「……そうかもしれないな。愛莉なんかのために、こんなに苦しむ価値はない」

英玲奈の目が輝いた。「そ...

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