第六十八章

アンダーソン・グループ本社の最上階オフィスで、チャールズはソファに腰を下ろし、書類を手にしたまま頁をめくりもせず、窓の外を見つめて思案に沈んでいた。

「アンダーソン社長、お呼びでしょうか」ポールが書類フォルダを抱えて静かに入ってくる。額にはうっすら汗がにじんでいた。

チャールズは視線を戻し、向かいの椅子を指さした。「座れ」

一拍置き、どこか気まずそうに言う。「前に言ってたことだが……あれは、少し効いた」

ポールの目がぱっと明るくなり、背筋を伸ばした。「お役に立ててよかったです! 夫婦というのは、何事も一歩ずつですから」

「一歩ずつ?」チャールズは反芻し、うなずいた。「ほかに、何をすれ...

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