第14話

和也と結婚する前、私が何よりも愛していたのは、車で風を切って走ることだった。

理由は単純。ただ、あの自由奔放な感覚が好きだったから。

「もっと早くこうするべきだったのよ。あいつと結婚してから、葵は自分らしさをすっかり忘れてたじゃない」

梨乃は私の気持ちを代弁するように口を開いた。その声には、和也への不満がたっぷりと込められている。

私はふっと口角を上げ、思わず息を吐き出した。

「離婚さえすれば、全部元通りよ」

そのとき、背後から突然クラクションの音が響いた。

続いてオレンジ色のスポーツカーが背後から迫り、あっという間に私の車と並走する。

横目でちらりと確認すると、それはフルチ...

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