第44話

別れ際、和也はパトカーの傍らに立ち、凶悪な形相で私を睨みつけた。

「葵、よくもやってくれたな」

歯をギリギリと食いしばる彼に向かって、私は笑いながら手を振り返した。

「負け犬の遠吠えって、本当にいい音色ね」

帰宅してすぐ、私は蓮に無事を知らせる電話をかけた。

彼の声は緊張で震えていたが、私が無事だと知ると、ようやく安堵の息を漏らした。

「あのイカれ野郎、君に何もしてないだろうな?」

あからさまな探りを入れてくる彼に対し、私も勿体ぶるような性格ではないので、事の顛末を包み隠さず話し、安心させた。

「どうしても不安なら、俺がそっちに行こうか?」

「え?」

聞き間違いかと思った...

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