第50話

悟は熱っぽい視線を私に向けながら、持ち上げた腕を私の背後のソファに回した。

遠目には、まるで私の肩を抱いているように見えるだろう。

私は上体を前に倒し、彼との距離をそっと開けた。

拒絶の意思はこれ以上ないほど明白だったのに、梨乃は何も気づかないふりをして、興味津々な顔で私を見つめてきた。

「葵、彼ってあの元旦那の友達なの?」

梨乃の性格なら、悟の素性を知れば、和也への当てつけとして絶対に彼の猛アプローチを受け入れさせようとするはずだ。

「ビジネスパートナーよ」

私が適当な肩書きをでっち上げると、悟は表情を強張らせ、無意識に弁解しようとした。

「葵、俺たちはそんなんじゃ……」

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