第69章

唐突な問いかけに、私は思わずその場に立ち尽くした。

本来なら迷わず反論すべきなのに、和也と結婚しようと固く決意したあの頃の記憶が、ふと脳裏をよぎったのだ。

「私と和也は夫婦です」

伏せていた目を上げ、私は言葉を続ける。

「ですが、私がデザイナーになれたのは自分自身の力であって、誰かの援助によるものではありません」

きっぱりと言い切った私の目に、もはや迷いも気負いもなかった。

私の言葉を聞いたAlexは、思案するような色を瞳に浮かべ、やがて頷いた。

「わかりました」

「九条さん、今日のあなたとのお話、持ち帰って検討させてください」

彼は私のデザイン画を軽く指先で叩き、尋ねてく...

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