第5章

あのチャリティーガラから一週間が経っていた。

この一週間、ずっと考えていた。車の中で譲司が言った「僕が守る」という言葉を。彼の掌はとても温かくて、その安心感に、自分が演技していることさえ忘れそうになった……。

だが今夜、譲司から、隼人が高峰アリーナでプライベートなボクシングのエキシビションを開催し、私たちを招待してくれたと聞いた時、チャンスが来たと確信した。

高峰アリーナ……愛しくも、憎い場所。

「準備はいいかい?」譲司が優しく尋ねる。

私は深呼吸して、無垢なモードに切り替えた。「はい。でも譲司さん、なんだかこの場所、見覚えがあるような気がするんです」

煌々と照ら...

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