第6章

翌朝早く、譲司が届いたばかりの招待状を握りしめてリビングに飛び込んできた。「斎藤麗華の『鋼鉄の薔薇:不敗の伝説』が、日本スポーツ映像大賞にノミネートされたぞ!」

その知らせを聞いたとき、私はキッチンで「不器用な」手つきでスクランブルエッグを作っていた。手にしていたヘラを、危うくフライパンの中に落としそうになる。

スポーツ映像大賞? あの、全国でテレビ放送されるギャラクシー賞みたいな?

心臓が早鐘を打っていたが、私は困惑した表情を装って言った。「スポーツ映像大賞って何? すごいことなの?」

譲司は固まった。「麗華、お前……本当に何も覚えていないのか?」

しまった、反応が...

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