第2章

「で?」レアが噛みつくように言い、私の意識を引き戻した。「伝説の戦利品ってやつはどこよ、マレン? ブーツが床に溶けていくんだけど」

 私はごくりと唾を飲み込んだ。口の中が銅と灰の味でいっぱいだった。

 ゲームなら、スポーンした瞬間にパークは共有される。現実の仲間たちは、私の表示がボスの状態を追跡していることも知っている。

 ボスは知らない。

 知っていたら、かくれんぼなんてしていない。わざわざ死んだふりをするはずもない。今ごろ私たちは、ここで皆殺しにされている。

「今、位置を絞ってる」私は嘘をついた。

 みんなに力を使わせる必要があった。ボスは六時間の戦闘でひどく弱っている。顔を盗める。人生まるごとの記憶だって落とし込める。だが、瀕死の状態で超常のパークまで完璧に再現できるのか?

 できない――私は命を賭けてそう踏んでいた。

 私は広間の暗い隅に押し込まれた、重い鉄の箱を指さした。

「レア。反応が一番強いのはあそこ。でもガチガチに鍵がかかってる。あんたの腕力が必要だ」

 レアは目をぐるりと回した。「下がってて。私がやる」

 彼女は箱へと歩み寄った。私は息を止めた。指先が短剣の柄を握りしめる。革は自分の冷たい汗でぬるついていた。

 もし彼女がためらったら。もし手間取ったら。私は刃を彼女の首に突き立てる。

 レアは錆びた鉄の南京錠をつかんだ。

 彼女のパークが発動した。オーバードライブ。

 溶岩のような橙色の光が、前腕に沿って激しくひび割れの筋となって走った。皮膚から放たれる熱が空気を膨張させ、焦げたオゾンの匂いが鼻を突く。

 バキン。

 分厚い鉄が、安物のプラスチックみたいに彼女の握力で砕け散った。レアは重い蓋を蹴り上げて開けた。

「何もない」レアは唸り、錆びて役に立たない剣の山を蹴飛ばした。「ガラクタだけ」

 私は震える息を吐いた。

 レアはボスじゃない。

 けれどレアは脱出の魔法陣へ戻ろうとはしなかった。彼女は私と目を合わせた。苛立ちの表情が、死人みたいに真剣なものへと変わる。

 彼女は箱から離れ、まっすぐ私の右隣へ移動した。近い。守るように。

 心臓が一拍、飛ねた。

 気づいてる。

 狭苦しいアパートの同室で四年を過ごした、言葉にしない絆がかちりとはまった。レアは私の本当のパークが戦利品探知じゃないことを知っている。私たちが狩りをしていることも。

 合わせてくれているんだ。

 一人クリア。残り三人。

 祝っている暇はない。表示のタイマーが秒を血のように垂れ流し続けている。

 五十二分。

 私は高いヴォールト天井を見上げた。「ペトラ。上だ」

 ペトラはびくりとして、だぶだぶのジャケットをきつく引き寄せた。「どこ?」

「祭壇の上に吊るされてる、血みたいに赤いランタン」私は上を指さす。「そこに反応が出てる。落としてくれる? 私じゃ届かない」

 ペトラは完全に消耗していた。もともと繊細な子だけど、今は死人のように青白い。

「やってみる」彼女は囁いた。

 震える手を上げる。幻影の手。

 青紫のエネルギーでできた、幽かな半透明の腕が、肩口から乱暴に引き裂かれるように飛び出した。空気を引っ掻くように甲高く鳴き、天井へ向けて伸びていく。

 だが、ちらついた。

 壊れたデータみたいに不安定で、途切れ途切れに乱れる。

 私は即座に身を硬くした。

 手がまた短剣へ滑り落ちる。彼女なのか? コピーが崩れているのか?

 幽手がランタンの重い鉄鎖をつかんだ。ペトラは歯を食いしばった。白粉をはたいたような頬を、大粒の汗が伝い落ちる。

 獣じみた必死の引きで、ランタンが石の床へ叩きつけられ、無価値なガラスと灰へと砕け散った。

 ペトラは膝から崩れ落ち、荒く息を吐いた。「ごめん……空っぽ」

 私は彼女を見つめた。あの苦痛は作り物には見えない。力も本物だ。

 絶対の確証はない。だが、彼女を斬るわけにもいかなかった。もし読み違えたら、私は親友を殺す。

「よくやった」私は平静を装って言った。

 ペトラは脱出の魔法陣へ退かず、床から這い上がると無言で歩き、レアの左肩の少し後ろに立った。

 私を見ない。残りの二人を見張っている。

 彼女も気づいている。

 残り二人。ニクスとセレン。

 部屋の空気は、喉に絡みついて窒息しそうなほど疑心に満ちていた。

「ニクス」私は怒鳴り、ひび割れた石床を指さした。「反応が地下で跳ねてる。石の下に埋まってるかもしれない」

 ニクスは腕を組み、黒い眉をつり上げた。「人殺しの地下室に潜れって?」

「掘ってる時間がない」私は声に必死さをねじ込んだ。「軽くでいい、ざっと見てきて。お願い」

 ニクスは、一瞬だけ長すぎる沈黙で私を見た。

 黒い瞳は、何も映さないみたいに読めない。やがて彼女は口の端をつり上げた。

「いいよ。金の冠でも見つけたら、かぶって授業に行くからね」

 彼女の身体が低い振動音を帯びて唸り始める。位相移動。

 肉の形は一瞬で、半透明に光る青い影へと変わった。室温がすとんと落ちる。

 ニクスは一歩踏み出し、そのまま固い石の床へ――水に沈むみたいに、すっと沈んだ。

 私は待った。

 耳が痛いほどの静寂。頭の中で秒針が刻む音の方が、よほどうるさく響く。

 彼女が魔物なのか? 今、私たちの下で待っていて、暗闇へ引きずり込むつもりなのか?

 苦痛のように長い三秒が過ぎた。

 それから、左に三メートルほどの石面が波打った。

 ニクスが飛び出し、濡れたような息を吐きながら、肉と骨へ戻っていく。彼女は乱暴に頭を振り、幻の埃をむせ返るように咳き込んだ。

「何もない」ニクスは唾を吐くように言い、口元を拭った。「土とネズミの骨だけ。あんたのパーク、クソだね、マレン」

 彼女は歩いてきて、ペトラのすぐ隣に立った。

 これで三人、参加者だと確認できた。

 三人とも、私の背後でさりげない半円を作っていた。

 身体の向きは外側。守りの姿勢。極限の暴力に備える構え。

 私は喉の奥の乾いた塊を飲み込んだ。

 胸がきつく締めつけられ、息を吸うのもやっとだった。

 私はタンク役を試した。サポート役を試した。スカウト役を試した。

 脱出の魔法陣の近くに立っているのは、もう一人しかいない。

 魔物がかぶっている顔として、あり得るのは――一つだけ。

 背後の三人は一言も発しなかった。だが、その視線が同じ標的を追っているのがわかった。

 私はゆっくりと顔を上げた。

 血に汚れた山荘の床の向こうで、セレンが微動だにせず立っていた。

 沈黙が、張り詰めて今にも弾けそうに伸びる。

 彼女が最後の一人だった。

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