第210章

この一件は、どこもかしこも不自然だった。

絶対に何か裏がある!

ルカが私の手からスマートフォンを取り上げる。

「ベラは午後ずっと俺といた。君に電話などしていない。俺たちがマルクスの失踪を知ったのは、夕方に君からの電話を受けた時だ」

今にして思えば、あの電話は長兄からのものではなかったのだ!

一瞬にして、全身の血の気が引いた。

その場にいた誰もが愚かではない。即座に事態を察知した。

「罠だ! 早く逃げるぞ!」

マルクス兄さんは自分の服を探す暇もなく、真っ先にバスローブを手に取り、ジャクリーンに羽織らせた。

ジャクリーンも幼い頃から幾多の危機を潜り抜けてきただけあり、無言でバス...

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