第213章

私はルカの膝に掛けられたブランケットをそっと整えた。

ルカの体がほんの一瞬強張り、呼吸すらも一拍止まった。

訝しげに彼へ視線を向けると、彼は私の手を軽く叩き、平坦な声の中に温もりを滲ませて言った。

「行っておいで」

私はそれ以上深く考えず、ステージへと歩み出た。

長兄の落ち着き払った長身のシルエットが、ステージの反対側から現れた。パリッとしたダークカラーの礼服を身に纏い、左胸には一族の紋章が輝いている。冷ややかな顔立ちの中に、威厳と優しさが同居していた。

「今宵は皆様、ご来場いただき感謝いたします。本日は、特別な一日です」

長兄は手短な挨拶を済ませると、両手で大切に持っていた精...

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